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Interview

子育てしながら働く女性や
職場でリーダーシップを発揮している女性など多様な活躍の姿を紹介!

200年先も地元で愛される地酒ブランドに磨き上げ、後継者を育成したい。200年先も地元で愛される地酒ブランドに磨き上げ、後継者を育成したい。

家業の酒造りを受け継ぐ杜氏としてこだわりの地酒を醸造・販売。

「御前酒」の名で知られる辻本店は、真庭市勝山で江戸時代末期から215年続く酒蔵です。岡山県産米と旭川の地下伏流水を原料に、米を洗って蒸し、自前の麹をつくるところから、昔ながらの造り方で年間およそ1500石の日本酒を醸造しています。販売エリアは日本全国。海外10か国にも輸出しています。私は酒蔵の長女で、現在は「杜氏(とうじ)」と呼ばれる酒造りの最高責任者を務めています。14人の蔵人(技術者)と共に冬季の酒造りに励み、年間を通じて品質管理や新製品の開発、また、大小展示会やイベント、国内外のキャンペーンや勉強会に参加したり、講演、営業にも走り回っています。この仕事で最もやりがいを感じる時は、米の蒸し具合や酒質など目標通りの完成度に達した時。そして、お客様に「美味しい」と言ってもらえた時、この仕事を選んで良かったと思います。

初の女性杜氏の重圧と育児との両立に悩む。 ー ターニングポイント ー

2001年に入社し、県内随一の備中杜氏だった先代・原田杜氏のもとで酒造りを学びました。ところが酒業界は、ひと昔前まで女性が蔵に出入りすることさえ許されなかった世界。蔵人は全て男性で60代以上。「蔵元の娘が遊びに来ている」程度に思われ、私は悔しい思いをしながら「仕事を覚えて役立つようになれば理解してもらえる」と信じて頑張るしかなかったのです。この頃、酒造りは冬季だけの作業でした。蔵人は季節雇用。そのため酒造り期間中、誰も一日も休まないから、私も休まず働きました。2005年に結婚。蔵人の高齢化に伴って設備を近代化し、男性正社員を採用し始めた2007年に先代杜氏が急逝。私は29歳で杜氏になりました。経験不足でも失敗は許されない。また、「先代の味を変えてはいけない」という重圧に押し潰されそうでしたが、蔵人や取引先の酒販店、酒造アドバイザーの方など、いろんな方に助けていただき、杜氏1年目の酒を仕込むことができました。また、ある蔵人が「自分たちの新しい酒を作ろう」と提案してくれたのをきっかけに、蔵人みんなが新製品開発に向けて一致団結。コンセプトから酒質、瓶の色やネーミングまで、9人の蔵人が一緒に作った「Gozenshu9(NINE)」は発売から3週間で売り切れ、チームワークも育ち、本当の意味で「御前酒」が受け継がれたと思いました。こうして自分に自信が持てたと思ったら妊娠。出産直前まで仕事を続け、2008年末に息子を出産しましたが、0歳児を預けられる保育園に入れなかったので産後1か月で職場復帰しました。時短勤務で事務をこなし、作業は蔵人に指示。育児は私と夫、実家の母とベビーシッターの4人でローテーションを組んで分担。目が回りそうなほど忙しい生活は子どもが1歳になるまで続きました。

私たちの世代で、女性が自分らしく働ける環境を自分で作っていく。

私は女性杜氏の先駆けとして、酒造りと育児を両立するモデルとなり、これからを生きる女性杜氏や蔵人に自分らしく働ける環境を提供していきたいです。そして、これから200年先も地元で愛される「御前酒」ブランドに育てたいと思います。カフェやレストラン事業に加え、「発酵」をテーマにした「食のイベント」を首都圏で開いたり、県外の飲食店の方を真庭に招くツアーを行ったりして新しい人脈やお客様も開拓しています。今後も全国に向けた「御前酒」ブランドの発信と向上に努め、後継者を育成したいと思っています。そして私自身も将来、おばあちゃんになっても、何かしら酒造りに携われるような自分でいたいと思います。

クローズアップ

管理職になることに意義がある

トップになることで自分が
働きやすい環境を整えられる。

職場のトップになると重責を感じる反面、みんなが働きやすい環境を実現できるようになります。酒造りにシフト制を導入し、きちんと休日を取れるようにして夜勤も廃止しました。どうしても夜間、誰かが出ないといけない場合には、私だけが頑張るのではなく副杜氏にも任せています。自分たちの今の生活に合わせて古い働き方を変えつつ、冷蔵庫など酒の質を向上させる設備を導入することで、より良質な酒を提供しています。

自分がロールモデルになる

働くママの奮闘ブログを参考に
酒造りと子育ての両立方法を模索。

現在は、全国に約30人の女性杜氏が活躍していますが以前は希少で、しかも、子育て中のママ杜氏は0人でした。「酒造りと育児をどうすれば両立できるだろうか」と悩んでも相談できる先輩がいないため、子育て奮闘中の働く女性や女性社長のブログなどを読み、夫と実家の母で子守りのローテーションを組むなど参考にしました。しかし、結局は「自分なりのやり方でやるしかない」と腹を決め、子どもを背負って職場に行く日もありました。

無心になることで自分を整える

黙々と手を動かして何かを作る
趣味に没頭してストレス解消。

子どもの頃から「モノをつくること」が好きで、黙々と手を動かして何かを作る作業をすると落ち着きます。特に、パンづくりみたいに、生地を机に叩きつけて伸ばしたり、こねたり、丸めたり、適度に力を使いながらシンプルな作業を繰り返すことに集中すると頭の中が無になり、日常のストレスを解消できるから不思議です。味噌づくりや漬物づくりも好き。そんな「暮らしの主役」としての女性の感覚が仕事にも生きていると思います。

ある1日のスケジュール

★6:00
起床・洗濯・朝食
★7:30
出社
★7:40
ミーティング
★8:00
麹室での作業・蒸米作業
★10:00
休憩
★10:30
仕込み作業
★11:30
メールチェック・事務作業
★12:00
昼食
★13:00
洗米作業・麹室作業
★15:00
休憩
★15:10
麹室作業
★17:00
メールチェック・事務作業
★18:30
帰宅・家事・子どもの宿題チェック
★19:30
夕食
★20:00
麹室作業・蔵の見回り
★21:30
入浴・子どもを寝かしつける・自分の時間
★23:00
麹室作業
0:00
就寝

株式会社 辻本店

醸造部
取締役・杜氏

辻 麻衣子さん

42歳

[将来の夢]

子どもと本気のキャンプがしたい

[オススメの本]

松下幸之助『指導者の条件』

[休日の過ごし方]

料理(スコーンづくり、パンづくり、漬物づくりなど)

[リラックス法]

温泉&岩盤浴

取材協力:株式会社 辻本店
本社所在地:岡山県真庭市勝山116
HP:https://www.gozenshu.co.jp/home.html
従業員数:20名
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